もくじ
今回ご紹介するお客様には、塗装に関してひとつご希望がありました。
それは、「自分で玄関ドアを塗装したい」というもの。
そこで、弊社の一級塗装技能士の職人に作業工程ごとにレクチャーさせていただき、結果、お客さま自らの手で見事に塗装を完成されたのです。
この記事では、お客さまに行った作業工程の紹介と、各工程でお伝えしたポイントをまとめました。
ご自宅の木製玄関ドアの塗装をご自身でやってみたいという方は、ぜひ参考になさってください。
16年越しのリピーターのお客様
今回のお客様は、16年前にも塗装のご依頼を頂いていました。
前回は弊社の代表である曽根が担当していたのですが、その頃の仕事ぶりを覚えていて下さり、今回再度ご依頼をいただいたのです。
外壁塗装のリピーターの方というのは、10年かけて私どもの仕事ぶりをじっくりと見て成果を体感した上で、ご依頼を頂きます。
本当に身が引き締まる思いです。
今回のご依頼後も、また10年間しっかりと家を守れるよう、丁寧な仕事を心がけながら2週間工事させて頂きました。
お見積りの際、施主様からあるリクエストを頂戴しました。
それは、「外壁塗装が終わった後に自分で木製玄関ドアを塗りたいので、残しておいてほしい」というもの。
お仕事をセミリタイアされ、時間ができたので木製玄関ドアをじっくりと塗ってみたいと思われたのだそうです。
「それでしたら塗装工事の際に一緒に塗りませんか?弊社の職人がレクチャーさせて頂きますよ」とご提案をしたところ、ご快諾をいただきました。
さっそく職人の一級塗装技能士でもある原本に現場に入ってもらい、休憩時間などに玄関ドアの塗装を依頼します。
原本は、塗装の仕事に情熱を持っており、このような無茶なお願いにも快く引き受けてくれるので、いつも心強く思っています。
【参照動画】 一級塗装技能士検定試験のレクチャーをする原本職人
また原本は、一見すると顔は強面ではあるのですが、話してみると物腰が柔らかく、非常に落ちついた優しい声の持ち主です。
お客様にも丁寧に分かりやすく説明をするため、どの現場でも高い評価を頂きます。
今回も、ご主人にひとつひとつの作業を丁寧にレクチャーして、玄関ドアをきれいに塗装していただけました。
ちなみにこちらは、「16年前の施工時の、塗装前の玄関ドア」です。
ちらほら新築時の塗装がはがれているのが、お分かりいただけるかと思います。
そしてこちらが当時の塗装後です。
数年前システムバスのリフォームを行ったらしいのですが、よく見るとその玄関横にあるお風呂の出窓がまだ取り付けられていないのがわかります。
実は、この木でできた玄関ドアの塗装は、塗装料金としては最低10万円~なる工事個所となっています。
10万円と聞くと、どのお客様もぎょっとされるのですが、この玄関ドアの工程が分かると皆さま一様に納得されるのです。
ただしその価格は透明なクリヤー塗装をする場合で、こちらのように一般に黒や茶色など単色のベタ塗りとは別です。
ではいよいよ、木製の玄関ドア塗装の工程について解説しましょう。
木製玄関ドア 塗装工程
木製玄関ドアの塗装は、全部で8工程に分かれています。
- 養生をする
- ケレン作業
- 表面の清掃
- 色つけ 1回目
- 色つけ 2回目
- クリヤー塗料 1回目
- ペーパー掛け
- クリヤー塗装 2回目
それぞれ、詳しく解説いたします。
1,養生をする
まずは、ドア周りとドア部分で塗料がつくと困る箇所に養生をします。
養生テープや、養生用のビニールシートで被うなどして、ドア周りへの塗料の付着を防ぎます。
みなさん塗料がつく…というと、ポタポタとしずくが垂れて付着するのをご想像されるようです。
木製ドアは、木目を生かすためにローラーではなくハケを使用します。
そのため、ドア周りへ塗料が着く場合のほとんどは、ハケなど動かした際に出るスプレー状に散る小さなしぶきのようなものです。
ぱっと見「粉」でもついたように見えるのですが、塗装が終わるとこれが案外と目立ってしまいます。
2,ケレン作業
ドアに残っているニスや、前回の塗料の塗膜を剥がすためにヤスリをかけます。
ある意味、木を素の状態である白木にもどす作業です。
当時の写真を見てもわかりますが、クリヤーのニスをばっちり塗っているので、この素地を出すのが玄関ドアでは一番大がかりな作業です。
ニスなどが残っていると、木材が塗料を吸い込んでくれない箇所がでてムラになるので、かなりしっかり隅々までケレン掛けをする必要があります。
玄関ドアに細かな細工などがある場合は、このケレン掛けだけで終日作業になってしまう場合も。
また、色あせによって大きくムラになっている箇所は、特に念入りなケレン掛けが必要です。
3,表面の清掃
ケレン掛けで出た木粉を掃除します。
木粉が付着していると、塗料が木粉で浮いてしまいつかなくなってしまうのでここも時間をかけて丁寧に清掃を。
ホコリ取り用にまずはハケ掛けをし、その後固く絞った雑巾などで拭きます。
4,色付け 1回目
木粉をすべて除去し表面がきちんと乾燥したら、木部用の塗料で着色です。
ステイン系と呼ばれる塗料で、オスモカラーやキシラデコールなどがあります。
玄関ドアの場合、木目を活かした塗装をするため、壁の塗料とは塗る方法が異なります。
色をのせるのではなく、木材にしみこませて着色するので、ドアの状態によってはかなりの量の塗料を使用します。
木製のドアは、ある意味鰹節のように乾燥しきった状態になっており、思っている以上に塗料を吸い込むのです。
色付けをしたら、次の日まで乾燥するための時間が必要となります。
染み込みが多く、日照時間が少なかったり湿度が高かったりする時などは、乾燥に時間がかかる場合も。
5,色付け 2回目
色あせ部分とそうでない部分では、塗り分けが必要となります。色褪せ部分は、褪せていない部分よりも1回多く塗ることも。
また、そうした色褪せとの境界線をうまくぼかして着色することも、テクニックが必要です。
その後、乾燥するまで1日置きます。
6,クリヤー塗料 1回目
色付けが終わって、塗料が乾いたらクリヤー塗料です。
これはニスのようなものです。ドアの塗料の保護と艶出しの効果があります。
この時ローラーなどでぬると、塗った表面に気泡が出てブツブツなる場合が…。
そうならないためにも、ここでもハケで丁寧に塗ります。
乾燥するまで、また時間を置きます。
7,ペーパー掛け
クリヤー塗料は、2回塗る必要があるため、ここで最後にペーパー掛けをします。
表面のホコリなどをとることで、手触りもよくなり、仕上がりも美しくなるのです。
ペーパーを掛けたら、まだ残っている削りカスなどを綺麗に掃除します。
木部塗装のペーパー掛けの様子は、別の工事ですが、こちらの動画でもご確認いただけます。
8,クリヤー塗料 2回目
最後に仕上げのクリヤー塗料をハケで丁寧に塗って、完成です。
たかだかドア1枚ですが、4日~5日ほどの作業日程を費やし、細かな作業を行うため非常に手間がかかります。
ご希望があれば工事の合間にレクチャーいたします
今回は弊社の一級塗装技能士である原本からお客様に、養生の仕方、ハケのさばき方など要所要所で丁寧にレクチャーさせて頂きました。
1日1工程くらいのペース、期間は1週間程で無事完成。
施主様は仕上がったドアを見ながら「今回は本当に教えてもらえてよかったよ。玄関ドアの塗装がこんなに大変だとは思わなかった。」と笑顔でおっしゃっていました。
玄関ドアは、外壁や屋根などに比べれば、比較的手の届く範囲で塗装ができます。
もしも、ドアの塗装にご興味がございましたら、いつでもご連絡下さい。
お客様宅の外壁塗装工事中であれば、無料でレクチャー致します。
玄関ドア以外でもこのような形でよく行ってますので、動画も覗いてみてください。
【参照動画】奥様が外壁塗装をする。
ちなみに木製の玄関ドアはできませんが、アルミ製や鉄製であればダイノックシートという塗装以外の方法でもすごくきれいにする方法があります。
私はこれまでいくつもの現場を見てきましたが、工事というのは一生懸命さというものが自然に伝わると思います。
今回の原本の熱心さもまたお客さまに伝播して、玄関ドアも美しく仕上がったのでしょう。
これからも、「やってよかった」とお客様におっしゃって頂けるために、お客様に真摯に向き合っていきたいと思います。